「やってみなはれ!」

 先日行われたバザーの裏話を、学校だより「夢追人」にて紹介されていましたのでこちらでも取り上げます。

「やってみなはれ!」

  先日実施された「なんちゅうバザー」、福岡女子商業高校の「女子商マルシェ」や各地域や企業の皆様のご協力を得ながら実施することが出来ました。そして、何よりも実施に向けて奮闘していただいたPTAの皆様、本当にありがとうございました。そして、3年生有志によるバンド演奏もバザーに花を添えてくれました。このバンド演奏について裏話を紹介します。ある日突然、3年生10名近くが校長室にやってきました。「校長先生、バンド演奏をさせてください!」と直球勝負を私に仕掛けてきました。理由を聞くと、コロナ禍の中で自分たちがやりたいことも十分に出来なかったこと、以前は文化祭で有志参加という活動があっていたこと等を真剣に話してくれました。

 本来ならば校長として、このような生徒からの突然の依頼に即答は避けるべきだと思います。まずは学年教師への相談をすべきだと思います。もしかしたら生徒の安全面を考慮して実施することを認めない選択もあったと思います。でも私の決断はそのどれでもありませんでした。「よーしわかった。本番の時の時間と場所だけは確保してやる。それ以外は学校は何一つ関知しない。お前達の力で考えて全部やってみれ!」でした。楽器の調達も練習場所も、そして当日の案内等も全部生徒の力で進めることを約束して実施を認めました。生徒達は未来からの留学生です。生徒達の未来にはおそらく想像もつかない壁が待ち構えているかも知れません。その壁を乗り越えるためにも、自分で考え、判断決定して行動する力が不可欠になります。そんな力を少しでも身につけて欲しくて、小さい出来事だったのかもしれませんが、「やってみなはれ!」を校長の決断として生徒達に伝えました。

 生徒達は当日を迎えるまでに色々と苦労したようです。練習場所や楽器の確保、十分な練習も出来ずに最後はPTA会長をまきこんで指導してもらったりしたようです。ハプニングもありました。ドラマー担当がインフルエンザに罹患してバンドからの離脱、急遽の代理となった生徒は本番直前の数日間は寝ずに練習をしたそうです。開催に関する告知も自分たちでやり、ほぼ満員の観客を集めました。決して上手な演奏ではありませんでしたが、元気いっぱいで心のこもった最高の演奏を披露してくれました。何一つお膳立てがない中で、自分たちの力で困難の一つ一つを丁寧に乗り越えたのだと思います。「やれば出来る!」という言葉を実行した生徒達の挑戦であったと思うのです。

 私は生徒達から学んだことがあります。それは、何でも大人がお膳立てする教育からの脱却の必要性です。教師の過度の危機管理の中では生徒の成長はあり得ません。それよりも「やってみなはれ!」の言葉かけこそ大切だと思うのです。人間が行動する時には失敗がつきものです。失敗をさせないようにお膳立てして指導する教育も大切かも知れません。しかし、もっと大切なことは、失敗をさせて、その失敗を乗り越えさせる教育こそ価値があると思うのです。生徒が失敗した時、生徒に寄り添いながら、小さな成功を評価し励まし賞賛の声をシャワーのようにかけてあげることが教師の仕事でもあると思うのです。「やってみなはれ!」を大切にした春日南中学校でありたいと考えています。

 

 

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